会社と社会をつなぐ「ブランディング」の役割と「理念」の重要性
「会社」はなんのためにあるのか?
会社(経営者)は何のためにあるのか?それは「社会を良くする」ためです。人と人の間、人と現象との間、人と環境との間に潜む問題を解決したり、何か生活を豊かにするサービスやプロダクトを生み出すことで、人類の一派先の未来を発展させることがその役割だと思っています。
会社の「理念」とは何か?
上の定義で言えば、会社(経営者)の理念とは「社会をどのように変えたいか」「社会をどのように豊かにしたいか」という目標になります。ここには、経営者の経験や、それをもとに得た本質的な「魂」が凝縮されます。
「理念の精度・素晴らしさ」がロゴに直結する
下の図は、「会社」という人を動かしサービスを提供する側から、「社会」にその活動や理念が伝わるまでのフローと、そのどのプロセスを「媒体」が担っているのかをざっくりとしたダイヤグラムにしたものです。
「言葉」で表現された会社(経営者)の理念をより概念として直感的に感じやすい「コンセプト」にし、それにフォルムや色を与えるのがロゴデザインです。それは、そのまま社員・スタッフへと降りていき、日々の行動指針やモチベーションへとつながっていきます。
影響を受けるのは社員やスタッフだけではありません。形となった「ロゴ」のデザインは、その後のプロセスを担う「ほとんどすべての媒体」へと使用されます。これは、最終的にユーザーの手に渡り、スマホで写真に撮られ、instagramなどを経由して「社会」という大衆へとシェア(拡散)されていきます。
つまりロゴデザインは、社員の行動指針を表したり、モチベーションを上げる目的だけでなく、どのように「社会」に伝達されていくのかまでを考え、それに耐えうるクオリティをもって、わかりやすい「コンセプト」を体現していなくてはいけないのです。
ブランディングに関する2つの間違い
サービスを社会(大衆)に「どう売り込む」かがブランディングではない
ブランディングは、サービスなどに魅力的なイメージを付けて社会に売り込むことだと勘違いしている人が数多くいます。下の図でいうピンクのプロセスですね。ここだけを担うのが「ブランディング」という理解は、まだその言葉を掴みきれていません。
「ロゴデザイン=ブランディング」は間違い
また、それ以上に多い勘違いのが、ロゴデザインとブランディングを錯綜しているパターンです。ブランド=ロゴという認識は、少し狭すぎる理解の仕方です。
これは一般の方だけでなく、デザイナーでも「ブランディングプロジェクトばかりを担当できるデザイナー」と「ロゴ制作ばかりしているデザイナー」を勘違いしている人が多くいます。
ブランディングとは
ロゴデザインは、経営者の「社会をどのように変えたいか」という理念を、より直感的に感じ取れる「概念(コンセプト)」に置き換え、それに形を与える作業です。
対してブランディングは、社員を通し、サービスに反映され、ユーザーに伝わり、さらにそれが「シェア(拡散)」されるまでを見越した上で、それに耐えうるロゴデザインをすること。そして、そのロゴを使ったどんな媒体をどのように使い、このフローを実現するのかを全体を俯瞰して描くこと。さらには、各媒体からきちんと「概念(コンセプト)」が統一されて感じ取れるかに注意を払いそれらを制作し、機能させること。
つまりブランディングとは、社会に「シェア(拡散)」され浸透するまでのストーリーを描くこと、コンセプトを立て、ロゴのデザインからその展開を設計することなのです。
そしてそれは、経営者の「社会をどのように変えたいか」という理念を達成するまでを、創造的に担うということでもあるのです。
素晴らしいブランドは、素晴らしい理念から
日本最大級の料理動画レシピサービス「kurashiru」は、皆さんSNSなどを介して知っている人もたくさんいると思います。「kurashiru」は、料理ができあがるまでの手順を1分以内の動画にまとめることで、とてもわかり易く、作り方や分量を解説している動画配信サービスです。動画の件数は世界一。Appは米アップルの「App Store」で総合ランキング1位、レビュー点数も5点満点で4.8点を獲得しているそうです。
「kurashiru」というアプリを知っていても、この素晴らしいサービスを運営しているのが「dely」という会社だということを、知っている人はあまり多くないのではないでしょうか?そして、この「dely」という会社の理念がとても素晴らしいのです。
“70億人に1日3回の幸せを届ける”
この素晴らしい理念があっての、クラシルというサービス、ブランドにつながっているのです。「理念の精度・素晴らしさ」がそのデザインポリシーに直結し、多くの大衆(社会)に影響を与えるというとてもわかり易い事例ですね。
1000億円企業を目指すdelyですが、それこそ70億人に毎日幸せを3回ずつ届けなくては、達成できない目標ですね。
※そして…この「dely」の社長 堀江裕介氏が、僕(大石)と同じ26歳だということに驚きを隠せません。
素晴らしい理念あっての、素晴らしいデザイン
デザインは、無を有にする魔法ではありません。コンテンツそのものを良くする創造的なアドバイスや、発想することは得意ですが、会社(経営者)の本質的な「理念」にまで手を加えることはできません。
「理念を社会まで伝達するときに、純度100%伝える」
という使命のもと、理念をどう伝えるのがいいだろうか?どんな形がいいだろうか?どんな書体が効果的だろうか?ということに向き合い、より伝達率が高い「デザイン」ができるのが良いデザイナーです。
素晴らしい理念なくして、素晴らしいデザインは、あり得ないのです。